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介護保険法の改正について(令和3年4月1日)

介護保険法改正のポイント

介護保険法改正のポイント
介護保険法は「介護を社会全体で支えること」を目的として、新たな社会保険制度として平成12年4月1日より施行されています。私は、平成11年の第1回目のケアマネジャー試験に合格し、指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)併設の居宅介護支援事業所のケアマネジャー、指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の生活相談員・ケアマネジャーとして介護保険業務に携わってきました。
このページでは、令和3年4月1日より施行される
改正介護保険法の内容をお届けします!
(令和3年4月1日施行の改正介護保険法の改正内容)

(1)「介護人材の確保と業務効率化の取組の強化」

どの業種でも同じことが言えますが、介護分野における、特に介護の人手不足は深刻です。
このことは有効求人倍率が「人手不足」であることを如実に表しています。具体的数字でみますと、平成30年度の国内における全職種の有効求人倍率は1.46倍なのに対し、介護分野は3.95倍となっているのです。この数字が表す意味は。求職者1人に対して求人は4つほどあるということを意味しています。
この数字だけでも、人手不足の深刻さが理解できます。22025年には、いわゆる「団塊の世代」の方々がすべて75歳以上となります。改正介護保険法において、人材確保に係る取組は、介護福祉士養成施設卒業者は、令和3年度の卒業者までについて、国家試験を受験することなく介護福祉士資格を取得することができますが、この期間をさらに5年間延長して人材不足に対応することとなっています。これだけで人材確保ができるのでしょうか。

第8期介護保険事業計画にもとづく介護職員の必要数について」によれば、2019何度(令和元年度)の介護職員数は、約211万人となっています。そして、2023年度(令和5年度)には、約233万人の介護職員が必要とされており、2019年度(令和元年度)と比較すると+約22万人の介護職員が必要となるとされ、2040年度(令和22年度)には約280万人の介護職員が必要であるとされています。2019年度(令和元年度)と比較すると、+約69万人の介護職員が必要ということになります。

国においては、①介護職員の処遇改善(介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算) ②多様な人材の確保・育成 ③離職防止・定着促進・生産性向上 ④介護職の魅力の向上 ⑤外国人材の受入環境整備など総合的な介護人材確保対策に取り組む こととなっていますが、どれだけの介護職員を確保できるかは未知数といえるでしょう。

ちなみに、2019年度(令和元年度)の要介護(要支援)認定者数は667万人となっています。


(3)高額介護サービス費の引き上げ(令和3年8月利用分から)

医療保険では、あらかじめ定められた負担限度額で支払えばよいのですが、介護保険では、いったん支払い上限額を超えて支払いを行い、後日、支払い上限額と実際に支払った額との差額がもどってきます。
これを高額介護サービス費といいますが、今回、この支払い上限額の上限が見直されています。
具体的には、
課税世帯で年収1,160万円以上の場合の負担限度額は
→世帯で140,100円
つまり、食費と居住費以外の1ケ月に支払った額が140,100円を超えたときに、その超えた額と140,100円との差額が「高額介護サービス費」として還付されます。
課税世帯で年収が770万円の場合の負担限度額は
→世帯で93,000円
還付の考え方は①と同じです。
課税世帯で年収が約770万円未満の場合の負担限度額は
→世帯で44,400円
還付の考え方は①と同じです。
住民税非課税世帯で、年金収入等が80万円以下の場合の負担限度額は
→世帯で24,600円 個人で15,000円
還付の考え方は①と同じです。
生活保護を受給されておられる方
→世帯で15,000円
ただし、生活保護を受給されておられる方々につきては、食費・居住費などの介護保険外の利用料のも支払えばいいので、自己負担額が設定されている場合もありますが、事実上、高額介護サービス費の対象となることはないと思います。

①~⑤の区分のうち、新設されたのは①と②です。
高額介護サービス費に該当する場合は、市区町村から申請書が送付されます。介護保険施設に入所されておられる方々は、一般的に職員が対応するかと思いますので心配はいりませんが、ご自宅で生活されておられる方々につきましては、申請書をそのままにされることなく、ケアマネジャーさん等にご相談されてください。

事業者が行うこと

事業者、特に介護保険施設とショートステイ事業者については、特定入所者介護サービス費(補足給付)について、少なくとも、改正介護保険法が施行される令和3年4月1日までには、入所者またはご家族、利用者またはあらかじめご家族にご説明しておく必要があります。介護報酬の改定が最終的にどうなるかわかりませんが、やはり、今回の改正は、支払うべき額が上がる入所者・利用者が多くいらっしゃることとなるので、しっかりとしたご説明は必ず必要です。また、「介護負担限度額認定証」については、令和3年7月31日までが有効期限となっていると思いますので、6月頃に保険者から送付される書類等について必要な作業を行い、令和3年8月1日からの新たな負担限度格が決定されたあとで、速やかなご説明と書面による同意を得ることが必要となります。
 

オフィスマツムラでできること

改正された介護保険法に対して、どのように対応すればよいのか不安を感じておられる事業所さまもいらっしゃることと思います。
「ここのところが不安なんですけど」「こういうことも対応してもらえますか」など、なんでもけっこうですので、お気軽にお問合せ・ご連絡ください。
私は介護保険法施行以来、生活相談員兼ケアマネジャーとして介護保険業務に携わってきました。ご心配いりません、オフィスマツムラがいます。
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