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【2020年度】代表コラム

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新型コロナウイル感染症に係る傷病手当金

2020-08-10
傷病手当金は健康保険法に規定されており、支給要件は以下のとおりとなります。
「被保険者(任意永続被保険者を除く)が療養中のため労務に服することができないときは、その労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から労務に服することができない期間、傷病手当金を支給する」(健康保険法99条1項)となっています。

「3日を経過した日から」とあるのは、継続した3日間について労務に服することができない状態にあることが必要で、これを待期期間といい、この待期期間に報酬を受けていても、有給休暇であっても待期期間は完成し、4日目から傷病手当金が支給されることとなります。傷病手当金の支給期間は、支給を始めた日から最大1年6ケ月となります。

健康保険法99条1項は(任意継続被保険者を除く)と規定していますが、在職中に傷病手当金を受給しており、退職後に任意継続被保険者となった場合は、1年6ケ月に達するまで傷病手当金を退職後も受給できます。
私は、上記の要件に該当しないまま任意継続被保険者となっているので傷病手当金を受給することはできません。

傷病手当金の額は、原則として「1日につき、傷病手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した12ケ月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する金額」となります。標準報酬月額については、以前書きましたので当該記事をご参照ください。
支給期間でご注意いただきたいのは、たとえばAという疾病で傷病手当金を受給して復職し、再びAという疾病で労務不能となった場合、復職した期間も支給期間として進行します。
新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給については、令和2年3月6日に厚生労働省保険局保険課よりQ&Aが発出されています。
まず、健康保険法の目的は「労働者またはその被扶養者が業務災害(労働者災害補償保険法に規定する業務災害をいう。)以外の疾病、負傷もしくは死亡または出産に関して保険給付を行い~」と規定されています。

新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金のQ&Aから、傷病手当金の支給対象となる、または、なりうるケースと支給対象とならないケースを書き出します。
傷病手当金の支給対象となる、または、なりうるケースは以下のとおりとなります。
①「被保険者が新型コロナウイルス感染症に感染しており、療養のため労務に服することができない場合」→支給対象となる。
②「被保険者には自覚症状はないものの、検査の結果、新型コロナウイルス陽性と判定され、療養のため労務に服することができない場合」→支給対象となりうる。
③被保険者が発熱などの自覚症状があるため自宅療養を行っており、療養のため労務に服することができない場合」→支給対象となりうる。
④「発熱などの自覚症状があるため自宅療養を行っていた方が、休職して4日目以降に帰国者・接触者相談センターに相談したものの、体調悪化等によりその日には医療機関を受診できず、結果として、その翌日以降、医療機関を受診せずに病状の改善がみられた場合」→支給対象となりうる。
⑤「発熱などの自覚症状があるため自宅療養を行っていたが、休職して4日目に医療機関に受診し、新型コロナウイルス感染症ではなく別の疾病に罹患しているために労務不能と判断された場合」→支給対象となりうる。

支給対象とならないケースは以下のとおりです。
①「事業所内で新型コロナウイルス感染症に感染した者が発生したこと等により、事業所全体が休業し、労務を行っていない期間」→本事例は、被保険者自身が感染していないので支給対象とならない。
②「被保険者本人は自覚症状がないものの、家族が感染し濃厚接触者になった等の事由において、被保険者本人が休暇を取得した場合」→被保険者本人が労務不能の状態に至っていないので支給対象とならない。

なお、「支給対象となりうる」とあるのは、傷病手当金の支給決定は保険者(全国健康保険協会・健康保険組合)が決定するためです。
なお、業務の遂行中に、業務に起因して新型コロナウイルス感染症に感染した場合は、業務災害として労働者災害補償保険の対象となりえます。この件については以前書いておりますので、当該記事をご参照ください。
 
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社会保険労務士 松村 貴之




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