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【2020年度】代表コラム

「働き方改革」や「年金・介護保険制度」などの社会保険制度をわかりやくお届けします

介護保険について

2020-05-04
介護保険法は平成12(2000)年4月1日より施行されています。
 
私は、第1回目のケアマネジャー試験に合格し、3月31日に退職するまでの間、居宅介護支援事業所と特別養護老人ホームのケアマネジャーとして業務に従事しましたので、今日は、ケアマネジャーの立場で少し批判的に書きたいと思います。
 
介護保険制度が導入された目的は、それまで行政処分(措置)によって決められていた入所先をご利用者の意思で決めることができるようにすることと、少子高齢化社会の進展をみそえて、保険料方式にすることで介護を社会全体で支えること(介護の社会化)にあったと思います。
 
介護保険の被保険者は①市区町村に住所を有する65歳以上の方である第1号被保険者と、②市区町村に住所を有する40歳以上64歳で医療保険に加入している方である第2号被保険者とに区分されています。
 
保険料は、第1号被保険者は原則として、年金から徴収(特別徴収)され、第2号被保険者は、会社勤めの方であれば給与から控除されます。
 
介護保険の問題点も私なりに述べさせていただくと、ご利用者が介護保険サービスを利用されるときは、介護報酬として定められた額の原則として1割または2割を支払うこととありますが、特別養護老人ホームなどの介護保険施設に入所されたり、短期入所系サービスをご利用される場合は、これにくわえて、食費と居住費(短期入所系の場合は滞在費、つまりお部屋代のことをいいます。)をお支払いいただく必要があります。
 
この食費・居住費(滞在費)は特定入所者介護サービス費といわれ、介護保険外の負担分となりますが、この食費・居住費(滞在費)の決め方に問題があると思っています。
 
すなわち、決め方の1つにご利用者の預貯金要件があるのです。
具体的には、単身の方は1,000万円以下、ご夫婦世帯で2,000万円以下であれば、定められた方法で減額されますが、そのことを証明するたけには、通帳の写しを添えて申請しなければならないのです。国は自分の通帳を第三者に見せることに対して、心理的抵抗を感じるということを考えないのでしょうか。
 
さらに、ご夫婦世帯であれば、配偶者の一方が特別養護老人ホームに入所したとしても、もともとの世帯が課税世帯であれば、入所後も引き続き、課税世帯となって食費・居住費は基準額となるのです。
 
介護報酬は3年に1度、改定されることになっており、令和3年度は介護報酬の改定と合わせて、介護保険法も改正された内容がスタートすることとなります。
 
この改正内容のなかで、預貯金要件の見直しが検討されており、単身の場合で500万円または600万円、ご夫婦世帯で1,000万円以下に引き下げされることとなる予定ですが、たとえ、1割負担分、2割負担分の負担はそう高くないとしても、食費と居住費(滞在費)の負担が重くなるご利用者が増えるのではないかと思っています。
 
そもそも、貯金というのは、節約に節約を重ねて貯金されてこられたものと思います。その貯金から搾り取るようなことをしていいのでしょうか。
 
介護保険は50%を税金(公費)で賄い、残りの50%を保険料で運営しています。
ご利用者の負担を少しでも軽くすることができるように、公費の割合を高める、または被保険者の範囲を広げるといったことを考えてほしいと思います。
 
厚生労働省は国会対応にが1番多い省庁であると何かで見聞きしたことがありますが、待ったなしとなった2025年問題に向けて、しっかり考えてほしいと思います。
 
介護保険制度において、ケアマネジャーは中心的存在であり、在宅での生活が基本的考えであると思いますが、そういうわりには居宅介護支援事業所に入る収入は低すぎると思います。
 
1人のケアマネジャーが35人のご利用者を担当したとして、居宅介護支援事業所の収入は、ざっと計算して35万円ほどだと思います。これでは1人分の人件費も賄えないのではないでしょうか。
 
国は公平性・中立性を求めています。ならば、居宅介護支援事業所を独立開業しても十分に運営できる単価にするべきではないでしょうか。
 
国としては基本単価にくわえて、加算を用意しているというロジックなのかもしれませんが、田舎では加算の要件を満たすだけの資格保持者がいません。
 
地域の実態に合わせた加算の要件にしてほしいものです。
このことは、居宅介護支援事業所だけではなく、すべての介護保険サービスについて言えることではないでしょうか。
 
当事務所ではオンラインによる全国対応を行っています。
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社労士事務所オフィスマツムラ
社会保険労務士・ケアマネジャー
松村 貴之
 

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